2024年冬CCS特集:パトコア
医薬設計の情報を一元化、配列特許検索に新手法適用
2024.12.03−CABC'S(カブクス)グループのパトコアは、ハンガリーのケムアクソン社の日本総代理店として、創薬研究・化学物質管理のための総合的なソリューションを提供している。データベースで化学構造式を取り扱うケミストリーエンジンでは標準的な技術を持っており、外部のベンダーの多くもケムアクソン製品を採用している。ケムアクソンは今年から米サターラのグループ企業となったが、同社との関係に変更はなく、引き続き国内市場での拡大を図っていく。
とくに根強い人気があるのが化合物登録システム「Compound Registration」。化学的に正確にデータを扱うことができるため、他社製のシステムが導入されている場合でも、登録についてはこちらを選択するユーザーも多いという。また、新規で導入が拡大しているのが化合物デザインプラットフォーム「Design Hub」で、創薬研究のDMTA(設計・合成・評価・分析)サイクルをトータルサポートすることが可能。設計中の分子に関する各種計算結果、データベース検索結果、合成後の評価結果、人工知能(AI)/機械学習による解析結果などの情報をリアルタイムで共有できる。モジュラー構造が採用されており、Pythonなどで外部プログラムと連携できる柔軟性を備えている。日本でも、ユーザーでの評価がかなり進んできているということだ。
さらに、構造に基づいてHSコード(関税分類番号)を自動割り当てができる「cHemTS」の引き合いが多い。国際輸送において、有機物への適切なHSコードを割り当てることが可能。統合された塩/溶媒辞書と電離基の検出を活用した専用アルゴリズムにより混合物と塩の形態を正確に区別する。米国・EU・スイス・英国・インド・中国・日本に対応している。第29類の有機化学品に対応しており、医薬分野の利用が多いが、試薬や精密化学品分野にも有効だと考えられる。誤ったHSコードを割り当てるミスがあると、通関の遅延を招いたり追徴課税されたりすることがあるという。
そのほかの海外製品では、シンガポールのPatsnap社の特許情報ソリューションを今年から扱い始めた。とくに、タンパク質および核酸配列データベースを中心とした「Patsnap Bio」は、化学修飾された配列をもれなく洗い出せるほか、最先端の縮退配列検索(Degenerate Sequence Search)を可能にするなど、きわめて網羅性が高く、特許検索もれのリスクを大幅に低減することができる。来年度の予算で導入を考えるユーザーも出てきているということだ。
一方、自社製品では次世代型試薬管理プラットフォーム「CRIMSON+」を開発中。ワンストップで試薬や消耗品のライフサイクル全体を管理できるクラウドサービスで、試薬カタログを自動更新し、最新法令情報に基づく法規制チェックも自動化、購入から廃棄までのワークフローも一元管理できる。APIに基づいて外部システムの接続も可能。同社が開発し、湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)に入居しているテナント内で使用されているシステムをグレードアップしたものとして商品化する予定で、大型商品に育てたいとしている。少し先だが、来年10月に正式リリースする予定だ。