次世代フラッグシップ「富岳NEXT」開発プロジェクトが本格始動
加速部GPUにNVIDIAが参加、最高のAIスパコンを実現へ
2025.08.23−理化学研究所は22日、次世代フラッグシップスーパーコンピューター「富岳NEXT」(開発コード名)の開発体制を確立・始動させた。すでに、CPUおよび全体システム化の共同開発先として選定されている富士通に続き、GPUによる計算加速部を米NVIDIAが担うことが決まり、国際連携によるプロジェクトが本格的に始動した。今年度に、3者による基本設計を行い、来年度から詳細設計に入る。稼働が開始される2030年ごろに、世界最高のAIスーパーコンピューターであることを目標に開発され、人類共通の社会課題を解決するような成果を示すことで、同機を構成する諸技術を世界に普及させることを目指すという。
「富岳NEXT」では、CPUに富士通が開発中の「FUJITSU-MONAKA」を発展させた「FUJITSU-MONAKA-X」(仮称)を採用。加速部にはNVIDIAが設計する並列演算性能とメモリー帯域に優れた新型GPUを組み合わせ、CPUとGPUを密接に結合させたシステムになる。2030年時点で、世界最高のAI性能を持つCPUと世界最強のGPUが統合された世界最高のAIスーパーコンピューターになることを想定している。
MONAKA-Xは、現在の「富岳」に使用されているARM命令セットを継承し、ソフトウエアの互換性を維持。超メニーコアとSIMD機能拡張による高いスケーラビリティーを発揮し、数値シミュレーションなどのHPCアプリケーションに対する高い処理性能を実現する。加えて、サーバー用CPUで初めての行列演算エンジンを内蔵し、低レイテンシー(遅延時間)なAI推論処理を実行できる。GPUと広帯域に密結合されることで、AIの学習も高速に行え、HPCアプリケーションの加速でも強力な性能を提供可能だ。
「富岳NEXT」では、アプリケーション性能を「富岳」の100倍に向上させる計画。実際、ハードウエアの進歩による貢献は6倍ほどで、アルゴリズムやソフトウエア面での改善が大きな要素になるとしている。理研では、先進的なアプリケーション開発の支援を行うとともに、文部科学省と米エネルギー省(DOE)との「ハイパフォーマンス・コンピューティング及びAIに関する事業取り決め」に基づく米研究機関との共同研究も実施。国内では、大学および研究機関と協力しながら、AI処理向け機能の有効活用や、AIによる複雑な処理を補助するライブラリーの整備、AIによるコード開発・最適化のサポートなどの取り組みを推進している。
理化学研究所・計算科学研究センターの松岡聡センター長は、「理研の強みは幅広いサイエンス。世界最強のCPUとGPUを搭載した『富岳NEXT』により、AIとHPCで人類共通の課題を解決するような成果を創出し、それを世界のコミュニティと共有することにより、日本がAIで先進的な地位にいることを示すことができるし、日本発のスパコン技術を世界に広めることにつながる」と述べている。
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