ノーザンサイエンスが中国XtalPiと販売提携
製剤向けなど結晶学研究を統合支援、AI/ロボティクスを活用
2025.12.12−ノーザンサイエンスコンサルティング(NSC)は、医薬品開発向けの人工知能(AI)やロボティクス/自動化技術を持つ中国のXtalPi社と日本市場に対する代理店契約を結んだ。まずは、製剤研究に直結する結晶構造予測・結晶多形予測などを行う統合サービス「XtalGazer」の紹介から日本市場への展開を開始する。原薬などの化合物を実際に試験し、AIや計算化学(量子力学・分子力学)を組み合わせて、医薬・精密化学・化粧品などの結晶学研究を受託あるいは統合的に支援する。「NSCとのパートナーシップにより、3〜5年で日本市場を3〜5倍に拡大できる」(トラビス・ヒュー上級副社長)と期待している。
XtalPiの設立は2015年。米マサチューセッツ工科大学(MIT)所属の3人の中国人物理学者が創設者で、量子物理学を結晶構造予測に応用し、創薬研究を変革するというビジョンを打ち出した。昨年6月に香港市場でIPO(新規株式公開)を行っている。本社は深センで、上海、北京、米国ボストン、英国リバプールに拠点があり、社員数は1,000人以上。ロボット化された自動合成設備なども整っており、ウェットとドライの両方の研究環境が充実している。
今回日本で提供する「XtalGazer」は、受託サービスとソフトウエアを組み合わせた包括的かつ柔軟なソリューションで、単結晶の生成およびX線回折(XRD)による構造決定、電子線回折(MicroED)による迅速な結晶構造決定、また実験的な方法による結晶研究(多形/塩/共結晶のスクリーニング、結晶化プロセスの開発、固体分散製剤/プレ製剤の開発など)、計算的な方法による結晶研究(結晶構造予測、塩/共結晶バーチャルスクリーニング、溶媒/固体分散の傾向予測、形態予測など)を行う。実験のワークフローは定義されたプロセスで無人化・自動化され、24時間ハイスループットでの実施が可能。「AIやデータ駆動の視点も取り入れており、より速く効率的に創薬成果を提供できる」(シガン・ルアン上級ディレクター)という。結晶構造予測ソフト「XtalCSP」はクラウド経由で単独利用することもできる。
ヒュー上級副社長は、「いままでの対象は製薬業がメインだったが、化学・材料、化粧品などへ広げることを考えており、その意味でもこれらの分野で世界をリードする企業が多い日本市場に期待している。また、グローバル化を志向しており、欧米とともに日本市場を重視したい。実際、これまでにいくつか日本の製薬企業とのプロジェクトを行ったが、単発に終わって定着できなかったので、NSCとのパートナーシップには期待している。日本への投資も拡大したい」と話している。
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<関連リンク>:
ノーザンサイエンスコンサルティング(XtalPi製品紹介ページ)
https://www.northernsc.co.jp/xtalpi/
XtalPi(トップページ)
https://en.xtalpi.com/